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採寸と寸法

美しい着物姿には色・柄はもちろんですが、身にあった寸法としっかりとした仕立てが欠かせません。一反の反物が着物になるまでには、色々な工程があり、また様々な人が関わっています。このシリーズでは、弊店の仕立てに対するこだわりと普段お客様の目に触れることのないその様子をご紹介します。
初回は「採寸と寸法」についてです。美しい着物姿の最も基本的な事は、きちんとした採寸により割り出した、自分に合った寸法の着物を着ることです。身に合わない着物は、着付けがうまく出来なかったり歩きにくかったりと支障をきたし、何よりも着姿が美しくありません。又、自分の体型の特徴を把握し欠点を補う寸法にする事も大事です。

主な採寸箇所

■身 長…正確に測ってください。
  注意・年齢が60歳前後になると身長は縮むので、測り直しをお薦めします。

■肩 行…両手を水平に広げ背中心から手首のくるぶしの外側までを測ります。
  注意・肩の線に合わせ採寸をします。又、左右の手の長さは違うので、採寸
  した左右の寸法を足して半分にした寸法が基本の寸法になります。

■バスト…胸の一番高いところを測ります。

■ヒップ…腰の一番太いところを測ります。
  注意・太腿のはった方は身幅を決める時に考慮します。

■首周り…女性は首の付け根、男性は首の中心を測ります。

寸法の決め方

きものの寸法と各部名称1

■身 丈…基本的に身長と同じ長さ。
       (例)160cm = 4尺2寸5分
       注意・体型やお好みにより1寸前後は許容範囲。

■袖 丈…基本的には身丈の約3分の1です。
       (例)150cm = 3尺9寸6分 = 1尺3寸
       注意・年齢や着物の種類により前後します。

■肩 行…採寸した寸法通りが基準ですが、近年は採寸寸法より少し長め
     (3分~5分前後)をお薦めします。

■袖 口…基本的に大人は6寸です。
       注意・年齢や袖丈により多少前後します。

■袖 付…基本的には6寸か5寸5分です。
       注意・帯の位置が高い程袖付けは少なくなります(振袖は4寸~4寸5分)
       又、年齢により変化します(高齢になると帯を低く結ぶので6寸5分)

■袖 巾…肩行きと身巾によって変ります。ふくよかな方は狭く、細見の方は広くなります。
       (例)採寸の肩行きが1尺7寸5分の場合…
       後身巾が8寸の場合、袖巾は8寸5分~8寸8分。
       後身巾が7寸5分の場合、袖巾は8寸8分~9寸。
       注意・身巾と肩巾の差が1寸5分以内になる様に袖巾を決めます。

■身 巾…身に合った身巾とは、上前の袵が右脇の縫目に重なる位置が良いとされています。体の一番太い所(基本腰回り)
     の寸法を、上前身頃・後身頃・上前衽で割り振りをして寸法を決めます。
       標準寸法と言われるのが前巾6寸5分、後巾7寸5分です。
       注意・左右の脇線(着物の縫目)が、体の左右それぞれの真横に来る位置が理想的な
       前巾と後巾の比率となります。又、茶道をなされる方はやや広めに仕立てます。

寸法の決め方

きものの寸法と各部名称2

■袵 巾…基本寸法は4寸です。
       注意・身巾により多少変化します。(3寸8分~4寸3分)

■褄 下…基本寸法は身丈の半分です。
       (例)身丈4尺2寸の場合…褄下2尺1寸
       注意・近年の体型は腰高で足の長い方が多くなっているので
       採寸時に注意し少し長め(1寸前後)に調整します。

■衿肩明…首周りの寸法の4分の1が基準(2寸2分)です。
       注意・年齢や体型、好みで調整します。

■繰 越…基本寸法は5分ですが、年齢や体型又着物の種類、好みによって調整
       します。
       注意・男物の着物には繰越はありません。

■掛衿丈…基本は帯の上部に掛衿の端が始まり、斜め上部になる様見える位置(1尺3寸前後)が良いとされます。

■長襦袢丈…背中心からの基本寸法は身長‐30㎝です。肩山からの寸法は背中心からの寸法に5分(2㎝)足した寸法
      が基本です。
       注意・体型やお好みにより調整をします。

■羽織丈…20年程前は身長の半分が基準でしたが、近年はお好みの長さでお仕立てするのが主流です。

■コート丈…20年程前は羽織丈に1寸5分足した寸法が基準でしたが、近年はお好みの長さでお仕立てするのが主流です。