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裁ち合わせ

2回目は「裁ち合わせ」についてです。着物は基本的なデザイン(形)が決まっています。このデザインの中で反物の柄を生かし、着る人の好みや個性を引き出し、尚且つ体型の欠点を隠し美しく見せる事が大切です。
上記の事をふまえ、反物から着物の各部位(身頃・袖・衿・袵等)を決める作業を、裁ち合せ(柄合わせ)と言います。振袖・留袖・訪問着・付下・等の絵羽付けになった商品は反物の製作段階から各部位が決まっていますが、小紋・紬・浴衣等全体柄の反物はこの裁ち合わせを行い各部位を決めます。この裁ち合せで仕立上りの印象は大きく変わります。弊店では仕立屋さんに任せず、弊店でお客様の着姿をイメージしながら裁ち合わせを行っています。

横段柄の裁ち合わせ

横段柄の裁ち合わせ

裁ち合わせの例として、わかりやすい柄でいくつかご紹介します。

まずは横段柄です。これは横段を揃えるのか、又は段違いにするのかで大きく印象が異なります。イラストの左図は横段を段違いに、右図は横段を揃えた様子です。実際の反物の場合、用尺(長さ)に限りがありますので、上前などを優先して合わせていきます。

縞柄の裁ち合わせ

縞柄の裁ち合わせ

次は縞柄です。大きな巾の縞柄の場合、脇や背の合わせ方によって印象が変わります。イラストの左上図は一般的な追い裁ち、左下図は縞を背中心で揃えた様子です。右上図は縞を脇で合わせた場合、右下図は縞を脇と袖口に合わせた様子です。イラストでもわかるように、印象は大きく異なります。

裁ち合わせの工程と注意点

裁ち合わせの様子

工程
1 総丈、生地巾を計りお客様のお仕立上り寸法と比較します。
2 用尺があれば仕立上りのイメージをお客様のイメージとリンクします。
3 大体のイメージが決まると、それに沿って各部位を決めていきます。
4 まず上前のイメージを一番に決めます。それに伴い左脇の合い口が決まります。次は背縫い部分(右身頃と左身頃)の柄位置を考えます。両袖と上前袵位置を決め、最後に掛け衿の位置を決めます。
5 各部位が決まると縫い糸で印(肩山・袖山・上前袵・掛衿・裁ち目等)を付けます。
6 再度寸法表と糸印を見比べ間違いが無いかチェックします。
7 間違いが無ければ、裁ち目の糸印に沿ってハサミを入れ裁断します。

注意点
1 基本は生地目を揃える為追い裁ち(背・袖付・衽付の合う所が一方向になる)をします。
2 とび柄は基本同じ柄を並べないで互い違いに。又、ポイントを上前身頃膝位置・上前柄に合せた衽柄位置・背中心の柄位置・両脇の柄位置・両袖の身頃柄との位置・胸柄と掛衿の柄位置等に注意します。
3 繰越を踏まえ柄位置を決めます。
4 反物の総丈や身長の関係もありますが、身頃の裁ち切り寸法は4尺6寸以上にする。
5 縫い込みは1寸5分見積もる。